岐阜県本巣市にて脳神経外科・内科・外科・リハビリテーション科を診療する「えさきクリニック」についてご案内します。
えさきクリニック 

ボツリヌス治療について

脳疾患や脊髄疾患の後遺症に対する治療は何かできる? – ボツリヌス治療編 –

脳や脊髄の病気による手足の痙縮(つっぱり)に対するお話です。

一般的には脳や脊髄の病気になり手足の麻痺などが残ると「後遺症で仕方がない」といわれます。でも本当にそうでしょうか?

今回のテーマである痙縮(つっぱり)は、脳卒中や脊髄疾患の発症後より徐々に悪化していき、更に手足の動きや生活動作を阻害していきます。この変化が強かったり放置したりしておりますと関節が拘縮してしまいます。

この手足の痙縮(つっぱり)は回復期のリハビリの入院中、あるいは退院後1〜2、3年の経過で少しずつ悪化してくる方が多いと思われます

関節拘縮の状態になると関節が動かないので服の着替えができないなど日常生活動作にも影響が出ます。これを仕方がないとするか何か治療ができるのかということです。

抑えたりあるいは改善していくことも可能です。

実は、投薬やボツリヌス治療やリハビリによって、抑えたりあるいは改善していくことも可能です。これらの治療を行うかで生活の質が大きく左右されます。

当院では、この手足の痙縮(つっぱり)に対して筋肉の緊張をやわらげる目的で、ボツリヌス治療を積極的に行っています。どの筋肉が原因になっているかは患者様ひとりひとり違いますので、患者様の筋肉の状態をさわり、歩行や動作の状態をみて判断しております。

ここでリハビリテーション科専門医の経験がいきてきます。手足の状態や作業動作を診察し、どの筋肉に注射をすると効果的なのかを判断して投与する部位と量を決めていきます。また必要に応じて、装具を使用したり、見直したりすることも行います。

わずかな改善は、大きな改善と感じる事が多いのです。

ボツリヌス治療を行うと、麻痺した手足が脳卒中になる前のようにものすごく動くようになるというものではありません。かたくて動きづらかったのがやや動くようになる程度のものです。

この変化は麻痺の無い人からみると、ほとんどわからないような変化、あるいはほんのわずかな改善で、ボツリヌス治療をしてもしなくてもかわりがないのではないかと考えられがちです。

しかしこのようなわずかな改善は、麻痺のある人や介護をしているご家族にとっては大きな改善と感じる事が多いのです。

治療を開始するタイミングがとても重要になってきます。

当院でボツリヌス治療を導入している患者様や介護をしているご家族からは、少し手足の筋肉の緊張が緩むだけで、痛みが抑えられた、衣服の着替えがしやすくなった、爪が切りやすくなった、歩行がしやすくなったとお話されるのをお聞きします。

残念ながら関節が拘縮してしまった状態で当院を訪れる人もいます。そうなると治療効果はあまりなくなってしまいます。治療を開始するタイミングがとても重要になってきます。

手遅れにならないよう、脳卒中などの脳の病気になったら早目にこの治療を行っている専門医療機関に通院し状態を継続的に見てもらい、治療のタイミングを逃さないのが重要です。

治療に関するサイトのご紹介

手足のつっぱり(痙縮)情報ガイド グラクソ・スミスクライン株式会社

keishuku.jp